【建築学生の日常#2】レポートや設計課題の提出を間に合わせる必勝法

建築学科を目指している方や,建築学科に興味がある方の参考になるように,建築学科の学部生だった頃のことや,役立ちそうな情報をまとめていきたいと思います。

今回は,建築学生にとっては必須スキルである,スケジュール管理スキルについての話です。

筆者は東京の某大学の建築学科に所属しています。実際に,学部時代はほぼ徹夜なしで,設計の成績は秀,最終的には首席で卒業しました。

設計やデザインのセンスが高かったわけではありません。凡人のなかの凡人です。

こんな私が,課題や設計に取り組む際に心がけていたことを紹介したいと思います。

また,学部3年生の頃のスケジュールなども他の記事で紹介しています。建築学科への入学を考えている方など,参考にどうぞ↓

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【建築学生の日常#1】ある建築学生の1週間の過ごし方 | memorandum. 建築学科を目指している方や,建築学科に興味がある方の参考になるように,建築学科の学部生だった頃のことや,役立ちそうな情報をまとめていきたいと思います。 ゆくゆく...

今回は,4週間後に提出締め切りの設計課題が出題されたときのことを想定して記事を書いています。もっとスパンが短い課題の時は,「課題提出1週間前」のところを「課題提出2日前」などと読み替えて考えてもらえればと思います。

目次

課題が出された直後にやること

1. 関連するスケジュールをよく確認する

学校の課題に限らず,何をするときにでも,一番最初にやるべきことですね。

設計課題の場合だと,1週間ごとに設けられる中間エスキスの時間や,オフィスアワーの時間などが挙げられます。

このような自分では変更できないイベントに関しては,最初に把握して,それを最大限活かせるように自分のスケジュールを組み立てるべきです。

中間エスキスを最大限に活用するためには,しっかりと自分の設計意図を伝えられるような材料を集めておく必要があります。すなわち,中間エスキスまでに図面やパースおよび模型を用意できるように逆算して行動すべきなのです。

そこまでぼんやりと考えることが出来たら,次のステップに移ります。

2. やるべきこと・やりたいことを書き出す

スケジュールを把握して,何となくやることが見えてきたら,それを書き出していきましょう。

人間は忘れる生き物なので,自分で考えたことも一瞬で忘れていきます。すぐにやるべきこととやりたいことを書き出していきましょう。

やるべきことといっても,まずは簡単で良いです。思いついた順にざっと箇条書きしましょう。

例えば,こんな感じに↓

・指定された現場を見に行く
・1/500の敷地模型を作る
・設計コンセプトを考える
・ボリューム模型を作る
・1/100の本模型をつくる
・1/100の平面図,断面図,立面図を作成する
・イメージパースを描く

こんな風にざっくり書けたら,もう少し細かく書き込みます。

・指定された現場を見に行く(千歳烏山なので午前中で行って帰れる・写真とりたいので朝が良い)
・1/500の敷地模型を作る(3mm,2mm,1mmのスチボは必須・スチぺも少しほしい)
・設計コンセプトを考える(環境共生デザインにしたい・同規模の事例を調べたい)
・ボリューム模型を作る(スタイロ追加購入)
・1/100の本模型をつくる(保留・コンセプトが固まってからテクスチャを考える)
・1/100の平面図,断面図,立面図を作成する(まずは手書きで作成)
・イメージパースを描く(写真を見てイメージを膨らませながら描いてみる)

このTODOリストを具体化する作業がかなり大切だと思います。

具体化することで,どの順番でこなせば効率的か,どう行動すれば効果的かが分かってきます。
次の日から時間を無駄にしないためにも,まずは具体的にやることを決めましょう。

3. 書き出した項目について優先順位を決める

次に,作成したリストの項目に番号を振っていきます。
優先的にすべき項目はどれか,効率的な順番は何かを考えつつ順番を付けていきます。

この設計課題の例だと,以下のような順番が考えられます。

指定された現場を見に行く(千歳烏山なので午前中で行って帰れる・写真とりたいので朝が良い)
1/500の敷地模型を作る(3mm,2mm,1mmのスチボは必須・スチぺも少しほしい)
設計コンセプトを考える(環境共生デザインにしたい・同規模の事例を調べたい)
ボリューム模型を作る(スタイロ追加購入)
1/100の本模型をつくる(保留・コンセプトが固まってからテクスチャを考える)
1/100の平面図,断面図,立面図を作成する(まずは手書きで作成)
イメージパースを描く(写真を見てイメージを膨らませながら描いてみる)

この例の順番を考えるときの思考回路は大体以下のような感じです。

①まずは敷地を見に行かなければ始まりません。最優先事項に設定します。
②設計コンセプトを考えなければ,それに沿った形状やボリュームを考えにくいことが多いです。優先度は高めです。場合によっては形から入ることもあるかもしれないので,順番が前後する例もあるかもしれません。
③イメージパースといっても,落書きやアイデアメモ程度で構いません。その程度ならすぐにできそうなので,早めの順番に設定します。
④敷地模型もボリューム模型も,材料があれば割とすぐに作れるものなので早めに作っておきます。
⑤図面はコンセプトやイメージパースをある程度作成してからの方が描きやすいので,あとの方に持ってきます。
⑥本模型はすぐには作れません。このリストの中では,一番最後とします。

4. 優先順位の順番で項目ごとの締め切りを設定する

順位付けした項目をスケジュールにはめ込んでいきます。
この時にやりがちなのが,かつかつに予定を詰めて,余裕のないスケジュールとしてしまうことです。

必ず予備日を1週間に1日くらいの割合で設けるようにしましょう。
予備日の設定によって,計画倒れを防ぐことに繋がります。

設計課題の例をマンスリースケジュール帳に書き込むとすると,以下のような設定が考えられます。
書き込む際に,TODOをそのまま書き込むだけでなく,それを実行するのに必要な前準備なども一緒に書き込んでいきます。この例だと,材料買い出しなどがそれに当たります。

4週間後に提出で,1週間ごとにエスキスがある設計課題の場合,初めの段階でしっかり予定を立てるのは1週間後までです。

そのあとにエスキスで方向性が変わり,やりたいことが変わってくる可能性があるからです。

だからと言って,それ以降の予定を全く立てないのではなく,どの時点までにどの作業を完成させたいか目標日を設定しておきます。

そうすることで,全体を見通しながら,ある程度融通を利かせながら作業を進めることができます。

課題が出されてから課題提出1週間前まで

1. 設定した締め切りに間に合うように行動する

作成したスケジュールに沿って,淡々とTODOを消化します。
計画だけ一生懸命立てても,実行しなければ意味がないので,しっかりと行動していきます。

私は,計画をきちんと実行するモチベーションを保つために,次の3つのことを主にやっていました。

①作業に入るまでの行動ルーティンを作ること
②作業中にテンションが上がるような工夫をすること
③予定していた作業が完了したら,しっかりと休むこと

①「作業を始める」という行為は,しっかりと自分を律しないと出来ないものです。なので,作業を始める前にやることを決めて習慣化することで,自然と作業を始められるように促します。私は,作業を始める前に,必ずコーヒーを入れてメールをチェックするようにしています。

「作業を続ける」ために,作業中の時間が快適で楽しくなるように工夫します。私は,YouTubeで好きなジャズ系のBGMを聴いたり,好きな配信者さんのトークをラジオのように聴いたりして楽しんで作業を出来るようにしています。

③予定していたよりも早く作業が終わって,次の日の分もやってしまいたくなる時ってあると思います。そのような時は,きっぱり作業を終わらせて,好きなゲームや動画をゆっくり見て休むのが一番です。達成感を感じながら非常に良い気分でリラックスできると思います。そして,明日も同じように頑張ろうと思えるはずです。

2. 設定した締め切りが守れなかったものに対して策を講じる

頑張って作業をしても,予期せぬイベントや体調不良で,上手く計画通りに完了させられないこともあると思います。

もし,予定通りに作業を完遂させられなくても,自分を責めることはありません。上手くいかないのは,日常茶飯事です。

それよりも大切なのは,そのあとにどのようにリカバリーするのかということです

以下に,また例に挙げているスケジュールを示します。現在,課題提出日から3日経って,敷地模型作成だけが完了できていないといった状況だと仮定します。

この場合,金曜日は授業もあって,模型作成をする時間は取れないことを鑑みて,土曜日に敷地模型作成の時間を設けます。その分,図面作成が満足にできなくなる可能性が考えられるので,予備日の日曜日を活用することを念頭に置いておきます。

このように,ある程度ゆとりをもってスケジュールを作成しておき,上手くリカバリーして,作業を間に合わせるといった流れで,取り組んでいきます。

3. ひとの力を借りる

また,場合によってはひとの力を借りることも大切です。

本模型作成にどうしても時間がないときは,友人に模型製作の手伝いを頼んでみるのも良いでしょう。

また,先輩や先生から,効率的なソフトの使い方やエスキスの仕方を聞き出してみても良いでしょう。

ひとと話すことによって,自分では考えつかなかったような解決策が浮かぶこともあるので,色々なひとの話を積極的に聞き入れるようにしてみましょう。

※モチベーション維持のためには,ほどほどの休憩も必要です

ここまで,タスクを効率的に捌く方法やマネジメントする方法ばかり書いてきていますが,時には休憩も大切です。

どうしても集中できない日,気分が落ち込んんでしまっている日,体調が悪い日もあると思います。
そのような日は,無理して計画通り作業を推し進めようとしても,上手くいかないことが多いです。

自分の調子を見て,作業量を減らす,作業をしないと決めてしまうのが良いです。その時に,出来なかった分の作業をいつやるか決めてしまうと,気を楽にして休むことができます。

課題提出1週間前から課題提出まで

1. この時点までにやり残しているものを確認

課題提出まで,少し時間が残っている段階で,現状やり残していることを確認しておきます。
この作業をしておくことで,直前になってやり残しに気づいて焦ったり,やることが多くなりすぎてどうしようもなくなるといったことを防ぐことが出来ます。

また,例を挙げて説明します。課題提出の1週間前の時点で,これだけ完了しているとします。

指定された現場を見に行く(千歳烏山なので午前中で行って帰れる・写真とりたいので朝が良い)
1/500の敷地模型を作る(3mm,2mm,1mmのスチボは必須・スチぺも少しほしい)
設計コンセプトを考える(環境共生デザインにしたい・同規模の事例を調べたい)
ボリューム模型を作る(スタイロ追加購入)
1/100の本模型をつくる(保留・コンセプトが固まってからテクスチャを考える)
1/100の平面図,断面図,立面図を作成する(まずは手書きで作成)
イメージパースを描く(写真を見てイメージを膨らませながら描いてみる)

③は,現時点までにSketchUpを用いてある程度モデリングしているので,それを活用して,割とすぐに完成させられそうだということにします。

2. 再度やるべきこと・やりたいことを整理

完了していない事項を確認したら,どの順番で取り組むのが効率が良いか,どれくらいの時間を取ればよいかを考えます。

また,新規で必要な作業があれば,それも書き足しておきます。

改めて,例についてTODOを作成してみると以下のようになります。

イメージパースを描く(SketchUpを使って描きたい場面を切り取って,添景やテクスチャをPhotoshopで描き足す)
1/100の平面図,断面図,立面図を作成する(今までのスタディで作成した図面を基にしてCADで作成)
1/100の模型を作る(図面を印刷して,それをガイドにして作成する)
プレゼンボードを作成する(CAD図面や模型写真をIllustratorでレイアウトする)

①イメージパースはスタディに使っていたSketchUpモデルが活用できそうで,すぐに終わりそうなので先に取り組みます。また,より建物のイメージを感じながら次の図面作業に移れます。
②図面は,いままで手書きで描きためていたものがあるうえ,模型作業に不可欠なので,早めに取り組みます。
③模型は図面さえ出来てしまえば作成できます。
④最後に,全てがそろってから出来るプレゼンボード作成を行います。

3. 1週間で完了するように時間を割り当てる

これも,初めに予定を立てたときと同じような要領で,スケジュールに組み込んでいきます。

前述したように,余裕をもって行えるように計画をたてるように心がけます。

実際に予定を立ててみると,こんな感じの計画が考えられます。

※それでも完了しなかったときは…

作業の途中であっても,課題提出の締め切りは守って提出しましょう。
作業した分までの点数はつけてもらえます。
また,ビハインド(遅れて提出)となると,良い設計であっても,最終講評してもらえなかったり,点数がガタ落ちしたり,良いことがありません。

また,完成させられなかったり,出来が不十分だと感じたら,課題提出したあとに自分で作品を完成させましょう。
きちんと作品を完成させることで,自分の実力を適切に把握することができ,次回どのような部分に気を付けて設計に臨めばよいか分かってきます。

まとめ

今回は,設計課題を例に挙げて,課題をどうマネジメントするか,その方法の例を示しました。

この方法は,あくまで私流のものです。他の方法で,より自分に合っている方法があれば,その方法を使ってください。

私のこの方法で大切なことは以下の4つです。

①やることを書き出して,可視化すること
②やることにそれぞれ期限を設けること
③きちんと実行すること
④実行できるように余裕をもった計画とすること

大学生は課題だけでなく,バイトなど色々と忙しいと思います。
この記事が,少しでも課題を楽にこなすことの助けになれば嬉しいです。

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この記事を書いた人

このサイトの管理人。
建物の設備設計者として働く。
絵を描くことと、旅行が好き。
シンガポール国立大学への留学経験や
建築学生の就職活動などを
ゆるく紹介している。

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