【一級建築士試験#3】学科試験の独学方法概要

令和4年度の一級建築士試験が終わり、来年度の試験の勉強をはじめようという方もいらっしゃるのではと思います。

筆者は令和3年と令和4年の学科試験を独学で受験しています。
時間はかかったものの、いわゆる資格学校の力を借りずに合格することができました。

この記事では、筆者の一級建築士学科試験の経験をふまえ、独学での勉強方法を紹介したいと思います。

この記事でわかること

  • 一級建築士学科試験の独学方法
  • 独学者の心構え
目次

筆者の受験遍歴

筆者は令和3年と令和4年の2回学科試験を受けています。1発合格ではありません。

勉強を始めたのは令和3年の3月半ばでした。当時修士2年生で、就活が3月初旬で終了したため、暇だし勉強でもするかと始めました。

参考書と過去問を買って、それらを7月半ばまでひたすら解いていました。
1年目はこんな感じであまり計画性もなく、時間も4ヶ月しかなかったので、記念受験に近いような状態でした。

そして案の定不合格で、その後から本腰を入れて勉強し始めました。

得意不得意を分析し、映像授業を受講して、理解を深めて行きました。
その映像授業では、講師に質問出来る訳ではなかったので、ほぼ独学でした。

そして何とか2回目の学科試験で合格しました。

ちなみに、筆者の点数推移はこんな感じです。

計画環境・設備法規構造施工合計
令和3年121321221179
令和4年151527231595
※令和4年は自己採点結果なので、実際の点数とは若干の差があるかもしれません。

どの教科でも数点ずつ得点が上がっています。特に法規では試験中のタイムマネジメントが上手くなったことで、大幅に点数が上がっています。施工が苦手なのは変わりませんでしたが…。

この経験から、私なりに感じたことをまとめてみました。

  • 一級建築士の学科試験はやり方によっては十分独学で合格できる
  • ある程度時間をかけて丁寧に勉強するべき
  • 長期間にわたって己を律する精神力は必要

人に言われなくても、自分で時間を確保して勉強できるという方や、マイペースにコツコツ勉強するのが得意な方には、独学はお勧めできます。
逆に、自己マネジメントが苦手だったり、一人で勉強をするのが苦手な方は、資格学校を頼ったほうが有効でしょう。

基本的な進め方

前項に書いた受験経験を活かしつつ独学勉強法をまとめてみました。

最新版 一級建築士試験独学方法

STEP
解説と過去問数問が分野ごとにまとまっている参考書を1周する

「一級建築士試験は、過去問を解いておけばよい」なんてことをよく言われましたが、
はじめのうちは、その過去問をいきなり解いても意味はありません。
そもそも何を言ってるのかわからない(特に施工)と思います。

そこで、教科ごと分野ごとに概要を学べて、かつそれに関連した過去問を数問解けるような構成になっている参考書を購入することをおすすめします。

私は市販の参考書を購入して勉強しました。また、市販の参考書1冊だけでは心もとなかったので、映像講座も併用して理解を深めていました。
資格学校の教材を入手して勉強しても良いと思います。

筆者が実際に使用していた市販の参考書です。初学者におすすめ。持ち歩きが出来ないのが難点。
受講していた映像講座です。スマホで問題が解けるので重宝していました。
STEP
過去問を1年分解いてみる

参考書や映像講座である程度知識を身に着けたら、過去問を1年分解いてみましょう。
思いのほか解けないと思います。

そこで落胆せず、間違えたところをしっかり分析しましょう。なぜ間違えてしまったのかを把握することが最も重要です。
自分はこの分野の知識が不足しているとか、計算が苦手だとか、自分の弱点をしっかり把握して、それを改善することが重要です。

最新7年間の過去問と解説が収録されています。正直これでも総合資格のでもどちらでも良いです。
STEP
参考書に戻り、解けなかった問題の分野をもう一度学習する

STEP2で把握した弱点を克服しましょう。

参考書の解説を再度確認し、理解できていなかった部分、忘れてしまっていた部分を確認します。
私の場合、その際、記憶を定着させるために、苦手部分のみを抜粋したノートを作成していました。

出来るのであれば、ノートは紙ではなくiPadにまとめるのがおすすめです。
iPadで記入して同期すれば、iPhoneでも閲覧できるので、スキマ時間でも苦手部分の勉強がはかどります。

また、ノートに書き出して満足してしまわないように気を付けてください。
ノートを作成した後は、実際に問題を解いてできるか確認したり、作成したノートを使って苦手部分を何度も見返すなどして、きちんと知識が定着させましょう。

STEP
STEP2とSTEP3を繰り返して、15年分の過去問を解く

これは経験談になってしまうのですが、過去問は15年分で十分だったと思っています。
やみくもに多くの年度の過去問を解くよりも、最新の過去問の内容を一字一句漏らさないように勉強したほうがきちんと知識が定着します。

また、問題は近年建設業界に求められている要素を反映します。例えば、施工の改修の知識がより問われるようになったり、省エネ法に関する問題が出題されたりなどといった傾向があります。
著しく前の年度では、そのようなトレンドも異なったり、参考にならない部分も多いため、15年分程度が良いのではないかと考えています。

丁寧にSTEP2とSTEP3を繰り返して、15年分の過去問を解きましょう。
また、その際に最新の年度の過去問は手を付けないでおきましょう。最終確認として使います。

STEP
模試に挑戦する

10年分(最新年度は除く)を勉強したら、模試に挑戦してみましょう。
自分の知識が実際にどこまで定着しているのかを知る良いきっかけとなります。

その際、複数の資格学校の模試に挑戦するようにしましょう。
どうしても1つの資格学校の模試のみでは、問題に偏りが生じるからです。

私が受験した感覚だと、
総合資格→オリジナルの問題を出してきて難しく感じる。
日建学院→過去問で見たような問題が多い。各教科に2問ずつくらい難易度の高い問題がある。
という感じでした。あくまで個人の感想なので、参考程度にみてください。

また、模試を受験した後は、きちんと自己採点→復習のサイクルを回しましょう。

STEP
忘れないように過去問を解き続け、参考書を何周もする

ある程度必要な知識をインストールしたら、あとはひたすら忘れないように、インプットとアウトプットを繰り返すのみです。
過去問がとけるアプリであったり、デジタル化したノートをフル活用して、効率的に学習を繰り返すことをおすすめします。

何も目新しいことはしていませんし、地味なこと書いてるなと自分でも思います。

ですが、1年半勉強して、地道だけどこれが1番点数に繋がったと感じています。

特に大切なのは、ある程度時間を置きつつ繰り返し学習することです。
忘却曲線に抗うように反復学習していれば、いつかは覚えます。

そして、反復学習のための時間と習慣を必ず作ることです。

私は電車の中でスマホで問題を解いていました。
その際に映像授業に付属していたデジタル参考書や問題集が非常に有効でした。

実際に利用した参考書の詳しい使い方については、長くなるので別の記事にまとめようと思います。

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なぜ合格できたのか

1. 習慣化に成功していた

やはり、習慣化に成功していたことが1番の勝因だと感じています。

平日は電車の中で過去問を解き、休日は必ず1~2年分の問題を解いていました。
時々疲れてサボることもありましたが、概ね毎日勉強を続けていました。

また、習慣化のためにきちんと環境を整えられたことも大きかったです。

通勤時間を有効に使うために、スマホで問題を解けるようにしたり、苦手分野をまとめたノートは紙ではなくiPadにまとめることで持ち歩きやすくしていました。

iPadのノートアプリGoodnotesを活用してまとめた例

2. 健康でいられた

そして、最後まで肉体的にも精神的にも健康でいられたことも重要だったと思います。

独学で勉強していると、どうしても不安になったりネガティブな気分になったりします。
その点では、いつでも講師や担当者と雑談したり相談出来る資格学校は強いと思います。

私の場合は、「考えても意味ないし」と強い気持ちで割り切るか、親や友人に愚痴るかして、不安を振り払うことが多かったです。
それでも落ち着かない場合は、とにかく問題を解く、模試を解くと、手を動かすようにしていました。
ただ悩んでいるだけの時間って、非常に勿体ないですからね。

もちろん、身体の健康も大切です。
普段からしっかり寝てご飯を食べるだけで良いと思います。
前日に睡眠を削るとか、無理に押し通す戦法が通じる試験ではありません。

1発合格のために

ここまで、つらつらと独学受験について述べてきました。
合格するための必須事項をまとめてみました。

  • 習慣化すること
  • 反復すること
  • 分析すること
  • 健康でいること

これから試験に挑戦される皆さんの力に少しでもなれていたなら幸いです。

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この記事を書いた人

このサイトの管理人。
建物の設備設計者として働く。
絵を描くことと、旅行が好き。
シンガポール国立大学への留学経験や
建築学生の就職活動などを
ゆるく紹介している。

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